私たちのカラダの中では、酵素や抗体という小さなタンパク質がせっせと働いているのをご存知でしょうか？酵素はさまざまな物を切ってくっ付けてエネルギーをカラダに供給したり、抗体はカラダにとって悪いものを識別して排除したり…これらの働きによって私たちの生命活動は維持されています。

　酵素や抗体はカラダの外でも活躍していて、身近なところでは食品の加工や衣料用の洗剤、特殊なところでは病原菌の検査や糖尿病の診断に使われています。それ以外にも、医薬品合成、化粧品、繊維加工、製紙加工、環境浄化などなど…活躍の場はとても広く、カラダの外でも私たちの生活を支えてくれています。今後ますますの活躍が期待されますが、実は課題もあります…それは、自然界から得られる天然の酵素や抗体では能力が不足していて、そのままでは使えないケースが多いということです。

　私の研究では、酵素や抗体を人工的に改良して能力を高めたり、その改良を効率良く行うための新しい技術を開発しています。進化分子工学や理論設計といったタンパク質工学技術を基盤に、異分野の技術とも積極的に融合させながら研究を進めています。

　狙い通りに改良がうまくいった時の充足感と、改良した酵素や抗体の実用を通してヒトの生活の役に立つという社会への貢献意識が、私の研究のモチベーションに繋がっています。さらに、これまで自然界になかったような酵素や抗体の創出を通して、タンパク質の未知の可能性を探求できる面白さも、本研究の醍醐味です。

　みなさんも一緒に、改良タンパク質を自分の手で創り出しましょう！